このページでは、シミ予防のために最も大切なこととして、光老化(ひかりろうか)についてお伝えします。
国会図書館に行って医学専門誌をチェックした上で、専門的ではあるのですが根拠ある内容を素人目線からできるだけわかりやすくまとめましたので、シミやシワを作らないための基本としてしっかりと押さえていってください。
光老化とは
光老化は、1986年にクリーグマン(kligman)という科学者によって提唱された比較的新しい概念です。
そして、この概念が提唱されて以降、シミに関する研究は飛躍的な発展を遂げ、世界的にも大きな転換点を迎えました。
この動きは、日本でも著名な医師などが参加して「光老化啓発プロジェクト」という活動が発足するなど、日本においても光老化への認知向上の動きが加速しています。
しかし、このようにシミ・シワ予防のために「光老化対策」こそが重要であることは専門家の中では常識である一方、一般の人たちにとっては「光老化」の認知度は非常に低い状況です。(男女で4.2%に過ぎない *1)
そのため、光老化を原因としたシミ・シワによって、いまだに多くの女性・男性が悩み続けている現状は、とても残念なことです。
光老化で顔ばかりがシミやシワだらけに
続いて、光老化について画像で説明していきますが、まず光老化の定義としてはこのように言われています。(*2)
「長期間日光に繰り返し当たることによって生じる慢性の皮膚の障害」
この点については、次の画像を見て頂くとわかりやすいです。
AもBも同一人物による顔と腰の部位の写真です。
それにもかかわらず、顔の画像(右のB)はシミやシワなどが多く見られる一方、腰の画像(左のA)ではシミやシワなどが少ない。
それでは、なぜ同一人物でも体の部位によってこれほど老化の症状が異なるかというと、原因は紫外線にあります。
日常的に紫外線にさらされる顔の部分はとてもはやく老化現象が進む一方、衣類に覆われて紫外線にさらされない部分は圧倒的に皮膚老化の症状が軽いということで、紫外線を日常的に浴びるか否かでこれほどの差が出るということです。
普通、シミやシワだらけの顔をした高齢者の裸を見る機会はほとんどないため、意外に気付きにくいのですが、紫外線を浴び続けた顔とそうでない部分の腰がどのような差を生むのか、とてもわかりやすい例であると言えます。
高齢者は顔にシミやシワが多くあっても、体には意外と少なかったりする
その理由は光老化の差
そして、この紫外線に当たる部位と当たらない部位の差によって、老化の進み具合が大きく異なることから、「シミやシワの約80%は光老化を起因とするものである(*3)」と専門家によって言われる理由も納得できます。
光老化に対しては、UVAへの対策が意外に重要
なお、光老化に関しては、UVAと呼ばれる紫外線の一種が光老化に無視できない影響を与えているという研究が近年になった多数報告され、注目を浴びています。
このUVAが与える影響の大きさについては、以下の画像を見て頂くとわかりやすいです。
この写真は、『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』という医学雑誌のサイトで、配達トラックの仕事に28年間就いていたという69歳の男性です。
毎日トラックに乗って顔の片側ばかり日を浴びた結果、顔の片側ばかり光老化が進んでシワだらけとなっている様子が写しだされています。
そのため、光老化について説明するために引用されることが多い画像です。
UVAは窓ガラスを透過する
ちなみに、この画像ですが、「トラック運転手といっても通常トラックには窓ガラスがあるから、窓ガラスで紫外線をある程度防御できないの?」と、疑問が浮かびます。
そこで、リンク先の英語の原典をよくよく読んでみると、実はこのリンク先の記事はUVAがガラスを透過することの注意と、UVAの危険性について警笛を鳴らしている記事であることがわかります。
以下、引用となります。
Ultraviolet A (UVA) rays transmit through window glass, penetrating the epidermis and upper layers of dermis.
(訳:)UVAは窓ガラスを通して伝えます。そして、表皮と真皮の上層を透過します。UVA has also been shown to induce substantial DNA mutations and direct toxicity, leading to the formation of skin cancer.
(訳:)UVAは、DNAの突然変異と直接的な毒性をかなり導くことが示されており、皮膚がんの形成に至らしめます。
このように医学雑誌サイトに記載されていることからも、UVAの影響の大きさを理解できると思います。
UVAは雲も透過しやすく、年中強さがあまり変わらず、さらには真皮深くまで到達する
また、他にもUVAの特徴として、以下のような点があります。
UVAの特徴
- 雲を透過しやすい
- 季節による照射量の変動が小さい(年中強さがあまり変わらない)
- 紫外線の内95%もの割合を占める
- 真皮深くまで到達する
このような特徴から、UVAは屋内にいても浴びやすい上、雨や曇りの日も思いのほか浴びているということがあります。
さらに、年間を通じて照射量に変動が少ないため、紫外線のオフシーズンなどの意識をしていないところも含めて年中浴びやすいです。
そのため、「行動様式によっては1日に浴びるUVAの量に1000倍もの差があり得る(*5)」 との専門家による指摘もあることから、意識していないところも含めた毎日のUVA対策によって、シミの形成に大きな差が生まれます。
このような盲点となるところで差ができているということで、注意が必要です。
UVBはエネルギーは強いが窓ガラスを透過せず、雲も透過しにくい
ところで、これまでシミやシワの形成には、UVBと呼ばれる日焼けのエネルギーが強い紫外線の一種ばかりが注目されて問題であると考えられていました。
しかし、UVBは窓ガラスを透過しないため、ガラスごしではそれほど大きな問題にはなりません。
また、夏と冬でUVBは照射量が大きく異なる(夏以外は照射量が減る)ので、日差しが強いシーンで日差しを防ぐなど、わりと分かりやすい対策をすればUVBはけっこう防げたりします。
そのため、UVB対策では意外と差ができず、日焼け対策を一生懸命やっているはずの女性になぜかシミができるのは、実は意識していないところで毎日少しずつ浴びているUVAが問題となっている可能性が大きいです。
知られていないPA値(UVAに対する防御効果)
このように、UVAの光老化に対する影響の大きさについてはとても大きいのですが、UVAを防御する点についても認識が一般的にきわめて低い現状があります。
そのひとつの例に、市販されている日焼け止め製品に記されているPA値(UVAに対する防御効果)に対する認知が非常に低い点があります。
川田 暁 氏(近畿大学医学部皮膚科)による医学生と看護学生への調査(*4)によると、SPF値(UVBに対する防御効果)に対して正しく認識していた人は全体のうち15%であった一方、PA値(UVAに対する防御効果)を正しく理解していた人は2%に過ぎない状況でした。
このことから、PA値についてはほとんど理解されていないということがわかります。
UVAの対策には強い日焼け止めは必要ない
このように、意識していないところで知らぬ間に大量に浴びてしまいがちなUVAではありますが、対策としては難しくなく、光老化予防のためには強い日焼け止めは必要ないとされています。
日本皮膚科学会では目安として、日常生活における光老化対策には、PA+と記載されている程度で十分としています。
サンスクリーン剤使用のめやす 条 件 防御対象波長 防御効果 備 考 SPF PA< 日常生活 UVB
UVA5 + 光老化予防 軽い屋外活動、ドライブなど 10 ++ サンバーン、光老化予防 晴天下のスポーツ、海水浴など 20 +++ サンバーン、光老化予防。耐水性のあるもの 熱帯地方での屋外活動 30以上 +++
特に、UVA自体の日焼けのエネルギーは強くないため、日焼け止めとしての効果は弱くても、とにかく毎日、そして年中使えることに重点を置いた、使い心地の良い紫外線対策製品を使うことが光老化対策には大切です。
ちなみに…
ちなみに、SPA5・PA+程度で、毎日使えるようなスキンケア商品は、私の知る限り無いです。
↓こちらのヤフー知恵袋でも話題になっていますが、この製品だとSPF4はあってもPA+が付いてないです。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11186958136
↓一応、こちらで買えます。
そこで、無いものはしょうがないので、化粧品OEM会社に依頼して、自分が納得するものを商品として自ら1000個作りました。
モノとしては、お米由来のUV成分を配合したサラっとしたオールインワンタイプのスキンケアゲルとなるため、毎日ベトつかず使えます。
また、個人的にゴルフが趣味なので日焼けは多少しますが、人からはシミがほとんどなく肌がきれいだと言われるので、この商品のおかげだと実感しています。
ただ…
これがどう頑張っても大きくは売れなかったため、今は在庫を抱えたまま販売は取りやめています。(作ってから数年経った商品を売るのはさすがに気が引けるため)
とはいえ、このような化粧品は基本的に消費期限がないため、自分や家族だけでずっと使い続けていこうと思っています。(たまにお店のお得意さんにもあげたりして意外と好評だったりします)
私はこのようにしていますが、皆さんの方ではこれから光老化対策に使える製品が新しく市販されるようになったりするかもしれませんので、ぜひ色々探してみてもらえればと思います。
光老化対策についてのまとめ
ここまで、光老化とは何かという点と、その光老化対策のためのUVAの重要性についてお伝えしてきました。
UVAの対策は盲点になっているだけで、それほど難しいことではありません。
シミに悩まされない生活を送るためには、光老化への理解が基本となりますので、当ページの内容が参考になれば幸いです。
参考文献
(*1)友利新オフィシャルブログ ビューティ診療室 「皆さんに知ってもらいたい「光老化」」
(*2)笹屋晴代,川田暁 皮膚科診療における光老化の治療 『日本香粧品学会誌』 Vol.34,No3,pp.209-213(2010)
(*3)宮地 良樹 皮膚のフォトエイジング(光老化) 雑誌『眼科』 Vol50 No4 2008
(*4)川田 暁 紫外線から肌を守り,いつまでも美しく-皮膚科医から香粧品業界に臨むこと- 『日本香粧品学会誌』 Vol.34,No.3,pp.185-189(2010)
(*5)宮地 良樹 皮膚のフォトエイジング(光老化) 雑誌『眼科』 Vol50 No4 2008