シミ取りレーザーの失敗例をキチンと調べてみた。

このページではシミ取りレーザーの失敗例について、一般人ながらに医学専門誌などで必死に調べた内容について、わかりやすくお伝えします。

 

ちなみに、ここでなぜ実体験ではなく調べた内容しかお伝えできないのかというと、その理由は自分自身を含め、シミ取りレーザーで失敗した人が周囲で全くいないからです。

過去に私は何度もシミ取りレーザーを受けていますが、医師の注意やアフターケアのポイントなどに気を付けていれば、失敗するというようなことはほぼないと感じています。

 

ただ、ネット上の口コミなどを見ていると、シミ取りレーザーの失敗のようなことを言っているサイトもあるため(実態はシミ取りレーザーの危険性を煽って化粧品を売りつけようとしているサイトが多いですが)、実際のところはどうなのかキチンと調べてみました。

 

シミ取りレーザーの失敗① 戻りシミ(PIH:炎症後色素沈着)

それではまず、シミ取りレーザー治療の失敗としておそらく最も良く言われる「戻りシミ(PIH:炎症後色素沈着)」について、お伝えします。

 

この、”戻りシミ”と呼ばれる現象は、レーザー治療後、一旦はシミがきれいに消えたと思った頃(治療後1か月後あたり)に再度同じ箇所がシミのようになってしまうもので、「レーザー治療をした人のおよそ30%程度(*1)に発生する」と言われています。

 

ただ、もし戻りシミが発生したとしても、戻りシミ自体は一過性のもの通常6か月程度もすれば自然に消えるものと言われています。

 

そのため、このあたりの説明はシミ取りレーザー治療を受けに行くと、医師や看護師からこの”戻りシミ”に関する説明をほぼ確実に聞かされます。(おそらく後でクレームになならないように)

 

アフターケアの注意を守らず戻りシミになっている人が多い

また、戻りシミの原因については、体質的なものやレーザーの出力の強さによるものなど様々に言われていますが、多くは治療後のアフターケアで医師の指示を守らないで患部を刺激してしまった人がよくなってしまうと言われています。

 

具体的には、レーザー治療後、非常にデリケートになっている患部を日焼けしたり、こすったりして刺激を与えることによって、”戻りシミ”になる場合が多いと言われています。(*2)

 

そのため、アフターケアについても、シミ取りレーザーを受ける前に医師や看護師からかなりしっかり注意を受けます。

 

医師の説明・注意を理解してキチンと対応すれば問題にはならない

しかし、現実的には、そのような医師による事前の説明をすっかり忘れたり、アフターケアの注意を守らずに「せっかく治療したのに、またシミになった!」とクリニックに怒鳴り込む人もいるようです。(*2)

 

こうして見ると、アフターケアの注意を守って私は戻りシミになったことがないですし、もし仮になったとしても半年程度で消える上にそのリスクも事前に承諾しているので、問題にはなりえないと考えています。

そのため、個人的にはこの戻りシミを失敗というと疑問な気はしています。

 

戻りシミについて、もっと詳しく知りたい方はこちらのページをご覧ください。

シミ、再発の真実…シミ再発の原因と対策

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ちなみに、こちらのページでは名古屋の医師が「一度レーザーで取ったシミは再発しない」と明言している点についても引用しています。

シミ取りレーザーの失敗② 肝斑の悪化

続いて、肝斑(かんぱん)と呼ばれる女性に多く見られるシミの一種に対して、レーザーを照射するとシミがかえって濃くなるという事例が報告されています。

これもひとつの失敗と言えば失敗かもしれません。

 

この肝斑というものは、そもそも化粧やスキンケア・洗顔などで肌を「こすりすぎ」た結果としてシミになっているものです。

原理としては、前述した「戻りシミ(炎症後色素沈着)」と同じで、毎日の習慣によるこすりすぎによって繰り返し炎症を起こしてしまい、その結果としてシミ(色素沈着)になっているものです。

 

皮膚が炎症を起こしているところにレーザーを当てて良いわけはない

そして、このようにこすりすぎて炎症になっている部分(肝斑)に、さらにレーザーを当てて良い結果となるわけはないです。

そのため、肝斑にレーザーは禁忌と言われています。

 

ただ、このように「肝斑にレーザーは禁忌」と聞くと、恐いように感じるかもしれませんが、実際、肝斑は事例としては5%に過ぎないんです。

 


シミを主訴に来院する患者の内訳
引用:渡辺 晋一 「臨床皮膚科」
63巻5号 2009年増刊号

 

そのため、実は肝斑は限られた事例であり、ほとんど多くのシミの例には該当しないため、実はそれほど心配するものでもないということです。

 

肝斑かどうかは医師の診察によるため、私たちが失敗を心配してもしょうがない

また、肝斑かどうかは医師の診察によるものであるため、自分自身で肝斑ではないかと悩んでいるくらいであれば、医師の診断を受けた方が早いです。

 

特に、大手の美容クリニックでは、無料カウンセリングを実施しているところもありますので、まずは無料で専門家(医師)に相談する方が良いですね。

 

シミ取りレーザーの口コミ!後悔しないために徹底比較した私のオススメ美容皮膚科

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シミ取りレーザーの失敗③ 白斑

続いての例は、白斑です。

シミ取りレーザーを打った箇所が逆に白く斑点のようになるものです。

 

この白斑については、明確に失敗と言ってもよい事例です。

専門的には色素脱失や、脱色素斑などと言われます。

 

この白斑に関しては、シミというよりアザの一種であるものに対してレーザーを打つと、白斑になるケースがしばしば報告されています。

 

例えば、通常おしりにできる蒙古斑が、体の異なる部位にできる異所性蒙古斑というシミ(実際はアザ)に対してレーザー治療をすると、白斑が発生するケースが報告されています(*3)。

ただ、この異所性蒙古斑と呼ばれるアザは、顔にできるケースは珍しいため(*3)、顔のシミで悩んでいる方はほとんど関係ない話となります。

 

また、太田母斑や扁平母斑と呼ばれるアザに対してレーザー治療をした場合にも、ごくまれに白斑は報告されていますが(*4)、シミの60%は紫外線を原因とした老人性色素斑ですので、ほとんどのケースではそれほど気にする必要はないです。

 

なお、この点についても、まずは医師による診断があり、太田母斑や扁平母斑、異所性蒙古斑などと診断された場合には、白斑のリスクも説明されるはずであるため、受診者側で心配するものでもないです。

 

結論:シミ取りレーザーの失敗を、あまり心配し過ぎてもしょうがない

ここまで、シミ取りレーザー治療の失敗と言える例として、戻りシミ・肝斑の悪化・白斑を紹介してきましたが、結論としてはあまり心配し過ぎてもしょうがないです。

 

きちんと医師の話を聞いて、きちんと対応すれば問題となることは少なく、肝斑やアザなどリスクのあるケースも医師の診断次第です。

 

そのため、もし診断を受ける前から不安や心配に思って身動きが取れなくなっているのであれば、とにかくプロである医師の診断だけでも先に受けてみるのが問題解決の近道です。

 

ただ、いざクリニックに行ってしまうと、診断だけで治療を受けないで帰るということは許されないんじゃないかと心配する人がいますが、そんなことはありません。

私がレーザー治療を受けた湘南美容クリニックでは、はじめに「今日は治療までされていきますか?それとも診断だけですか?」と聞かれました。

そこで、何か気になることがあれば、治療を受けずに診断だけで帰っても問題ありません。

 

このあたりの流れについては、実際に私が美容クリニックでレーザー治療を受けた体験レポートもありますので、こうした情報も加味して、シミ取りレーザー治療を受けるか受けないか、冷静に判断して頂ければと思います。

 

湘南美容クリニックでシミ取りレーザーを受けてきたブログレポート!写真多め・経過報告アリ

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余談:なぜ世の中ではレーザー治療のリスクばかりが強調されてしまうのか

ちなみに、ここからは余談ですが、「なぜ世の中ではレーザー治療のリスクばかりが強調されてしまうのか?」という点について、お伝えします。

 

シミのレーザー治療は実用化されてから25年以上も経つ成熟した技術で、医師によってその効果も実証的に証明されているにも関わらず、なぜレーザー治療に関してはことさらリスクばかりが強調されてしまうのかというと、実は医師側の事情と、化粧品会社の事情があります。

 

医師としては、「安全です」と言えない事情がある

シミのレーザー治療は、医療行為の一種であるため、リスクが完全にないかと言えばウソになります。

特に、たとえ非常にレアなケースであったとしても、白斑などのリスクが無くはない以上、「リスクはありません」といったことや「安心です」ということは医師の立場ではまず言えないです。

そのため、「安心です」ということはインターネット上にはほとんど出てきません。

 

化粧品会社としては、レーザーを受けるのではなく化粧品が売れてほしい

一方、シミに関連する化粧品などを販売する会社としては、美容皮膚科に行って簡単にレーザー治療を受けられては困る立場となります。(できるだけ自分の会社の商品を使ってほしいから)

 

そこで、「レーザー治療にはあんなリスクやこんなリスクがあります」と脅して、自分の会社の商品を売るパターンが良くあるんです。

 

おそらく、シミのレーザー治療に不安を持ってこのサイトにたどり着いた皆さんも、これまで見てきたウェブサイトで、同じようにレーザー治療のリスクを喧伝して、最終的に化粧品を紹介しているパターンを良く見てきたのではないでしょうか。

 

失敗例、リスク、企業の思惑、それらを踏まえて冷静に検討を

このように、医師や医療機関の立場としては、シミ取りレーザー治療の安全性に対して声を挙げられない一方、化粧品会社などの立場では、シミ取りレーザー治療のリスクばかりを必要以上に喧伝しがちな構図があります。

 

そのような状況の中で、シミ取りレーザー治療を受けたいと考えている方は、そういった背後にある諸々の事情も踏まえた上で、しっかりと冷静にシミ治療を健闘して頂ければと思います。

 

参考文献

(*1)つかはらクリニック院長のブログ 【シミ治療】PIH(炎症後色素沈着)と遺伝
(*2)葛西健一郎 『Qスイッチルビーレーザー入門』 文光堂
(*3)異所性蒙古斑のレーザー治療後色素脱失に関する統計学的検討
(*4)手塚 正,藤井 真,遠藤 英樹ほか 『Qスイッチルビーレーザーによる太田母斑の10年間の治療成績(第3報)-特に副作用としての脱色素斑の発生し易い条件の検討-』 皮膚の科学2:350-355,2003